町のあちこちで見かける内科や外科などのクリニック。その町で暮らす方にとって、最も身近な医療機関です。
介護需要が急増している昨今、高齢者が重い要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らせるように、地域包括ケアシステムが推進されています。これからのクリニック・医院・診療所は、地域包括ケアの核としての役割を果たすことが求められています。
クリニックとは?
クリニックは、入院病床が19床以下の医療機関です。多数の診療科を擁する総合病院とは違い、クリニックは1つ(あるいは2~3程度)の標榜科において専門性に特化した診療を提供します。
診療科の違いだけではなく、無床クリニックか有床クリニックかでも看護師の仕事は大きく異なります。無床クリニックの場合、入院機能がなく外来のみのため、入院患者への看護対応はほとんどありません。
クリニックで働くメリット
- ワークライフバランスが取りやすい
クリニックでは一部有床を除き、基本的に夜勤はありません。また病棟や介護施設などの2交替制と比べると、クリニックは拘束時間が短く勤務も規則的なので、生活リズムを整えやすく、身体的な負担が軽減されます。
- 年末年始やお盆にまとまった休みが取りやすい
看護師はシフト勤務で働くケースが多いため、毎月勤務表を作成して交替で休みを取ります。クリニックなら、お盆期間や年末年始は基本的に休みの職場が多く、まとまったお休みを取ることができるので、家族や友人と予定を合わせやすい傾向があります。
- 毎週日曜日がお休み(固定休)
クリニックの場合、日曜日や祝日が休診日という勤務先がほとんどなので、日曜日に休みたい看護師さんにお勧めです。家族との時間を大切にしたい看護師さんにとって、毎週日曜日がお休みのクリニック勤務は大きなメリットです。
- 精神的な負担が少ない
クリニックに来院する患者さんは、軽症者や慢性疾患をもつ方が多く、病棟や介護施設よりも看護師が対応する業務量が少なくなります。患者さんの急変の対応等はほとんどなく、病棟勤務のようなプレッシャーや緊張感も少ない傾向があり、一般的には看護師の負担は軽くなります。
- 数が多いので自宅周辺で探しやすい
病院や介護施設と比べて、クリニックは数が多いので、自宅周辺で探したい場合でも比較的選択肢が多くなります。クリニックで働く看護師は、自宅の近くで職場を見つけやすいという特徴があります。
働ける環境が自宅から近いと、通勤時間の短縮、家庭と仕事の両立のしやすさにつながり、家事や育児、自分の時間などを確保しやすくなります。
クリニックで働くデメリット
- 専門性を活かしづらく、スキルアップしにくい
大規模な病院に比べ、クリニックには難易度の高い処置が必要な患者さんが来院するケースが少ないため、基礎的な看護技術で対応できます。クリニックでも手術を行うことはありますが、大がかりなものは施設の整った病院へ紹介することが多いため、手術の難易度や頻度は病院の場合より下がるでしょう。
ただし、美容クリニックや不妊治療専門クリニックなどの専門性の高い領域の診療科では、その分野に特化した知識やスキルが求められます。
- 雑務が多い場合がある
クリニックの規模や体制によっては、医師の診療補助や患者さんへの対応以外にも、さまざまな業務があります。受付スタッフが在籍していないケースもあり、受付業務や電話対応も看護師が対応しなくてはならないことも。
また、清掃や備品の補充、医療事務の補助や書類作成など、病院で働くときと比較して、診察や問診以外にも雑務をこなす必要があります。
クリニックの運営を円滑にするために、看護師としての専門知識やスキルだけでなく、幅広い業務に対応できる柔軟性や臨機応変さが求められます。
- スタッフの数が少ないため人間関係が密になりやすい
地域密着で、一人ひとりの患者さんと向き合って仕事ができるのは、クリニックならではの魅力といえます。また、院長や看護師同士の距離も近く、多くがアットホームな職場となっています。
その半面、院長や同僚との人間関係がうまくいかないと、逃げ場がなくなる可能性があります。人間関係は、相性が合う、合わないといった要素に左右されることもあるため、院長の考え方や職場の雰囲気を事前に知っておくことが大切です。
クリニックの看護師に向いている人は?
- 地域密着型の医療に貢献したい人
- アットホームな職場で働くことが好きな人
- 気遣いができ、臨機応変に対応することが得意な人
- 基本的な看護業務をひとりでこなせる人
- 看護業務以外も率先してできる人
新卒でクリニックへの就職は難しい?
不可能ではありませんが、臨床経験のない新卒看護師が、内定をもらうのが難しいクリニックもあります。即戦力が求められるクリニックでは、基本的な看護スキルを持った看護師が採用されやすい傾向があります。