少子高齢化社会において介護需要が急増しているなかで、高齢者が重い要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らせるように、地域包括ケアシステムが推進されています。これに伴い、訪問看護のニーズは高まっています。
全国訪問看護事業協会の調査によると、令和5年度の訪問看護ステーション数は15,697。前年の14,304を上回っており、1年で1000以上もの施設が開設されています。
訪問看護とは?
訪問看護とは、看護師などが住み慣れた自宅で療養生活をしている利用者宅へ訪問し、主治医が作成する「訪問看護指示書」に基づいて、療養上のお世話や医療処置などのケアを行うサービスです。
対象となる方
- 主治医が、訪問看護の必要があると認めた方
- 病気やけがなどによりご家庭で療養されている方
- 医療的なケアや処置が必要な方
- 薬の管理が難しい方
- がんや難病、認知症の方
- 小児の在宅看護や精神科看護の必要な方
訪問看護ステーションで働くメリット
- ワークライフバランスが取りやすい
訪問看護師は基本的に夜勤がなく、日勤メインの仕事で、フルタイムのほかパート勤務や時短勤務など柔軟な働き方ができる事業所が多い傾向にあります。直行直帰体制の事業所であれば、自分の家から直接利用者さん宅を訪問し、業務をおこなったあとは自宅へ帰宅することも可能です。基本的に決められた時間単位で利用者の自宅を訪問するため、プライベートの予定が立てやすいメリットがあります。
- 土日休みの事業所が多い
訪問看護ステーションは、土日休みの事業所が多い傾向があるため、カレンダー通りの休みを取りたい方や、休日は家族との時間を確保したいといった方などは、働きやすい職場だといえるでしょう。
- 一人の利用者さんとじっくり関われる
病棟看護の仕事に比べて患者さん1人1人に割く時間が長く、コミュニケーションも濃密に取るので、患者さんやご家族との時間を大切にしたいと考える看護師にとっては、やりがいのある仕事と感じることが多いようです。
また訪問看護の利用者は、場合によっては数年単位と長い期間にわたって利用される方が多いため、利用者や家族の生活を支えることに繋がるような、人生に寄り添った看護を提供し続けることができます。
- 時代のニーズに合ったキャリアが積める
医療設備の整った病棟での業務とは異なり、訪問看護では患者さんの生活の場でのケアやサポートが求められます。社会の高齢化が進む中、在宅医療や地域医療のニーズは今後ますます高まっていくと考えられ、訪問看護師としての経験は、これからのキャリアにとって大きな強みになるでしょう。
いずれ病院に戻るとしても、退院支援などで役立つ在宅の経験は、高く評価されるポイントです
訪問看護ステーションで働くデメリット
- オンコールがある
訪問看護のオンコールとは、訪問予定がない日や夜間などに利用者や家族からかかってくる緊急の電話に対応するために看護師が待機することを指します。オンコールへの対応は電話のみで解決できることもあれば、緊急訪問で処置をする必要がある場合や病院へ救急要請をすることも。
訪問看護ステーションによって、オンコールを担当する頻度・電話が鳴る頻度・緊急訪問する頻度は異なるので、事前に確認しましょう。
- 一人で訪問するプレッシャーがある
訪問看護は基本的には利用者の自宅に一人で訪問し、サービスを提供します。自分一人でアセスメントや処置を行うため、プレッシャーを感じる場合もあります。
実際には、現場の看護師にすべての判断・責任を背負わせることのないように、多くの訪問看護ステーションでは、フォロー体制を整えており、管理者や他の看護師に電話やチャットで相談できる事業所がほとんどです。フォロー体制については面接時に詳しく確認してみましょう。
- 体力を必要とする
看護師1人での訪問看護が困難な場合は、複数名で行う場合もありますが、基本は1人なので、体位交換やオムツ交換などを一人で行わなければならず、身体的な負担を感じる場合があります。
また、利用者さまの自宅は病院のように整った環境ではないため、清潔ケアなどの際、腰に負担がかかる姿勢で介助を行わなければならないケースも少なくありません。
訪問看護師に向いている人は?
- コミュニケーション能力が高い人
- 臨機応変な対応ができる人
- 指示待ちではなく、主体的に行動できる人
- 体力がある人
- チームワークを大切にできる人
- 地域医療に興味がある人